SF6 CRカップの地縛霊

CRカップが面白すぎたせいで生活が崩壊していた。(※以降の人名は敬称略)

 

 

 

「何かの大会を観戦する」という行為自体は今までもあったことだが、ここまで感動して、終わってほしくなくて、とっくに終わったにも関わらず情報を追い続けている大会は初めてだと思う。ゲーム自体の質が高かったというのはもちろん、企画から関係者、展開まで出来すぎに思われるような展開だった。圧倒的に強いチームはなく、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将...どの試合もどちらが勝つかわからず緊張感があり、最後までどのチームが勝つのか予想ができず面白かった。

リアルタイムで私は主にAチームの配信を追っていたので、Aチームが見事優勝した時は本当に嬉しかった。しかし、Aチームが勝ったこと以上に、数日間の準備期間に凝縮されたプレイヤーとコーチの努力を見ていたこと、初対面だったメンバーたちが大会本番に向かって結束していく様子を見ていたことが思い起こされて、何度も涙が出てしまった。こんな気持ちになった大会も珍しい。ここまで自分の感情を揺さぶられたのは、大会そのものだけではなく、色々な要因がある。後になっても思い出せるようにメモしておきたいと思った。

 

企画

企画発表から本番までの期間が短かった

CRカップ開催の公式発表(6/19)から本番(6/25)まで、1週間足らずの期間しかなかった。以前から格ゲー経験のあった人やスト6を発売当初から遊んでいた人はともかく、今回で初めて格ゲーに触れる参加者にとっては非常に短い準備期間だった。しかし期間が短いからこそ、参加者自身の熱心な練習だけでなく、コーチとして呼ばれた格ゲー関係者の手厚いフォローも実現して、ここまで密度の高い準備期間になったとも言える(7月にはSFLが始まるためコーチ陣は自身の練習も必要なはずで、そんな中でここまで協力が得られたのは格ゲー界隈特有のものだったかもしれない)。また、短期で練習したために発生する「あと1日あればあの対策もできたかもしれない」という悔しさが、次へのモチベーションに繋がっているようにも見受けられる。それに、もし準備期間が1ヶ月、2ヶ月といったような長期間だった場合、毎日長時間練習できる参加者と、配信外仕事が多く練習の時間が取れない参加者との差がどんどん開いてしまっただろう。意図されたものだったかどうかはわからないが、今回の期間設定は色々な意味で絶妙だったと思う。

 

劇的な展開だった

これはもう結果がそうなったというだけなのだが、劇的な展開を制して最終的にウメハラが勝った、というのが出来すぎだった。決勝戦までの大将戦3試合でウメハラは1勝2敗、大将挑戦戦は防衛していたものの、チームの勝ち点に大きく貢献しているわけではなかった。しかも、決勝戦は予選で敗北しているふ~どとの対戦であり、副将までの対戦結果は2-2、(大将挑戦戦を除けば)ウメハラvsふ~ど戦に大会優勝のほぼ全てが懸かっている状態となった。さらにそこからふ~どに2本先取され、誰もがもう絶望的に思ってしまう状況から3本取り返して優勝、流石にもう誰かがシナリオを書いていたのではないかと思うくらい都合が良すぎる、非常にスリリングな展開だった。もし他のチームが優勝していたとしても、もちろん大きく感動していただろう。だが、こういった展開をウメハラが制したことが加わって、特別な感動が生まれていたのは間違いない。

余談だが、決勝でウメハラが勝つためにアドバイザーとして急遽呼びつけた鶏めしは、ウメハラがAチーム初顔合わせとオンライン対戦10先をダブルブッキングしてしまった時の対戦相手だった。このダブルブッキングによって鶏めしとの対戦と葛葉との会話を無理やり並行することになったウメハラ配信の地獄っぷりを見た時はこの先どうなるのかと不安に思ったが、まさかこれも伏線だったのだろうか。

 

関係者

関係者の熱量が予想以上に高かった

各参加者それぞれが本番までに努力をして、大会に熱意をもって取り組んでいた。外部コーチ含め、大会に関わった各ゲー関係者も親身になって教えてくれていた。大会に関わった人たちの真剣さが、配信を通して、視聴者へ十二分に伝わっていた(しかも配信外でも練習していた参加者もいたらしい)。この過程があったからこそ、各試合・大会の勝敗に関わらず感動をもたらしたのだろう。また、大会の観戦というもので私たちは基本的に「本番」だけ知ることの方が多いが、今回のような形式の大会では練習段階から選手たちの様子を追うことができた。人が努力している様子を見ているうちに感情移入したり、応援したい気持ちが高まったりして、「これだけ頑張っているのだから報われてほしい」という気持ちが無意識のうちに大きくなっていたのだと思う。

 

各チームの構成が上手く噛み合っていた

この大会で本当に良かった(良くて良かった)部分が「チーム構成」だった。正直な所、初めてチーム構成を見た時の印象は「Aチームに偏りすぎていないか?」というものだった。他のチームはメンバー同士が初対面というのも珍しいことではなかったが、Aチームはウメハラ以外の4人は元々面識があって、交流も多かった。しかもそこにウメハラが入っている、流石にちょっとやりすぎじゃないか?と思っていた。しかしそんな心配は無用だった。いざ本番になってみれば試合の勝敗は偏らず、フルセットまで持ち込まれる対戦もいくつもあった。特定のチームを応援しているつもりが、つい他チームの側に立って「惜しい!」と言ってしまったり、どちらにも勝ってほしいという気持ちになる試合があった。大会終了後に各チームのアーカイブや切り抜き動画を観てみると、各チームがそれぞれ違う方向性でコミュニケーションを行っていて、全然違うのに上手くまとまっていたことがわかった。4チーム全てが完成された形で噛み合って大会本番を迎えたのは本当に奇跡的だった。また、各チームに関与したコーチ陣も含めて、練習の中でも面白い瞬間がいくつも生まれていた(だから関連動画がアホ程ある)。有名配信者同士の仕事とはいえ人間には相性というものがあるので、各自の思いやりや努力があってもなかなかここまでの結束を実現するのは難しい。運営側もまさかこのような結果になるとは予測できなかっただろう。

 

前提イベント

REJECT FIGHT NIGHT

6/9に開催された(SF6発売のたった一週間後である)イベント REJECT FIGHT NIGHT(RFN)の存在も大きかった。RFNはSF6に関して大々的に行われる初めてのイベントだったこともあり、チーム毎のパワーバランスもばらつきはあったものの、ゲーム発売を祝うイベントとしてかなり楽しいものだった。このRFNとCRカップ双方に参加した配信者が複数いたことが、CRカップ観戦に更なる面白さを与えていた。

・RFN時点からCRカップ本番までの成長がわかる

・RFNの情報を取り入れて対戦相手の傾向分析が行われる

・RFNでチームメンバーだった人がCRカップでは敵同士になる(敵→味方の逆パターンもある)

・RFNで1勝もできなかった参加者がCRカップで勝利を掴む

こうして、CRカップ単体ではなくRFNから地続きのストーリーとして追っていたため更に楽しみが増えた。他の配信も色々観ていたが、私が主に追っていたのはRFNではCチーム、CRカップではAチームだった。RFNでのCチームは、赤見かるび、けんきの2名はどの試合でも勝利することができなかったし、チームとしての戦績も0勝3敗で最下位で終わっていた。しかし、チームとしてのコミュニケーションは予想を大幅に上回る和やかな雰囲気になった。人見知りのウメハラに対し、大御所だろうが構わずタメ口をきく赤見かるびと、中間管理職のように常に気を回し続けるけんきの妙なバランスが噛み合ってかなり愉快なチームになっていった。また、マリーザを選択した赤見かるびへコーチとしてShutoが紹介されてからは、Shuto&かるびによる連日の深夜練習が行われた。熱心な指導の中で2人はすっかり師弟関係となり、Shutoは実質4人目のメンバーとして活躍していた。

偶然にも、Shutoはかるびにモダンマリーザを教えることになったことがきっかけでモダンマリーザの強さに気づき、モダン・クラシックの両面でマリーザを運用、後にSFLでモダンマリーザを使い勝利することとなる。SF6発売、RFNから(もっと元を辿ればいくらでも辿れるだろうが)続く偶然の積み重ねが、さらに次の展開・感動を生み出している。私がこの流れを知っているのも「偶然観ていたから」だが、このような流れは私の知らない所にもきっとたくさんあるのだろう。個人的には「ハイタニが生んだ怪物」などと呼ばれることになるおぼ本田の存在もかなり好きだ。またこうしたイベントがあったら本田を使ってほしい。

 

ウメ散歩

ウメハラ散歩の参加者で乾杯 - 弘前経済新聞

https://hirosaki.keizai.biz/headline/2110/

4月にウメハラ配信で突然始まった長距離散歩企画。散歩は主に午前中~夕方にかけて配信されていたので、私は仕事をしながら横目に配信を観ることができた。本当に謎で無茶な企画で、中年が集まって他愛のない話をしながら(足が痛すぎて話せない時もあった)ひたすら道を歩く様子を最初は面白がって観ていたが、ゴールの青森で桜に囲まれる一行を観た時は感動したものだった。散歩をしているのは格ゲーマーだがゲームはまったく行われておらず、面白いおじさん連中としての側面が垂れ流しにされていた。

 

ウメハラ宅オフ(SF6体験版)

4月下旬に配信されたSF6体験版にオンライン対戦機能がついていなかったため、ウメハラ宅に格ゲーマーが集まってオフラインで対戦する配信を行っていた。体験版はリュウとルークの2キャラしか使えないにもかかわらず、2キャラでひたすら対戦しまくり、手が空いている人もプレイヤーの後ろで観戦しながらガヤを入れる等、ゲームセンターのように盛り上がる人々の様子が配信されていた。制限された環境であれほど楽しんでいる様子を見せられれば、格闘ゲームに縁がなかった者でも「このゲーム面白いのかも」と感じてしまうのも仕方がない。私はこの時点で確実な購入意志があったわけではなかったが、SF6に対してじわじわと好印象を持つようになっていた。

 

その他

(おそらく)SF6が神ゲー

格ゲーと縁遠い生活を送っているのではっきりとはわからないが、たぶんSF6は神ゲーだと思う。個人的にSF6の良いなと思う所はいくつかあって、①単純に見てて面白い(画面効果や音が爽快・ドライブシステムの存在)、②モダンモード(購入ハードルが劇的に下がった)、③ワールドツアー(対人以外の所でかなり楽しめる)、④魅力的なキャラクター(過去作キャラの加齢も含む)等だ。実際に「買ってもいい」と思えるようになったのはやはりモダンモードの存在が大きいが、いざ買って始めてみたら基本操作も覚束ないレベルで私は下手だった。でも面白い。システムについてはチュートリアルで教えてくれるし、ガードがロクにできなくてもワールドツアーはなんとか進めていけている。Switchのセールで昔の格ゲーを買ったこともあったが、アーケードモードが突然始まり、基本操作も技も何もわからない所に放り出されてわけもわからず放置してしまっていた(ネットで1から検索すれば操作もわかったのだろうが、パッと出てくるのは技一覧やコンボ一覧で、それ以前の人間は壁に追い込まれてCPUにタコ殴りにされて終わっていた)。そういった所で躓いてしまった時は格ゲーが自分にとって面白いものなのかどうかすら判断できていなかったが、SF6で格ゲーは面白いものだなと感じることができた。

 

各所で観ていた配信者たちがSF6で合流した

個人的に非常にお得だったのがこの点だった。配信者を知る、観るきっかけは色々あるが、私自身は格ゲーやFPSとの縁はそこまでなく、むしろ配信者の本業(?)以外のゲームで知ることが多かった。

・格闘ゲーマー:格ゲーマー人狼をはじめとして、麻雀、雪山人狼、コードネーム、TRPG、マーダーミステリー、VALORANT等の配信を観ていた。長時間のチャリティ配信も観ていた

・関優太:スプラトゥーン3の発狂クリップきっかけで配信を観るようになった

・k4sen、SHAKA、イブラヒム、叶、葛葉:CivilizationⅥマルチ配信(神)を観ていた

別々の件で配信を観ていた人たちが、まさか格闘ゲームという場所で合流するとは思っていなかった。そして、大会をきっかけに初めて知った配信者も(もちろん人気者ばかりなので)面白かったし、既知・未知の配信者がごちゃ混ぜになってお祭り的な楽しさがあった。言ってみれば私にとっては配信者のスパロボ状態だったのだ。面白くないわけがなかった。ここから新しい交流が生まれて、いつかまた別の機会にも一緒に遊んでいる様子を配信してくれたらなというささやかな期待もある。

 

 

 

CRカップに関する要素すべてが良い方向に収束されたことと、それに私個人の都合も加わって、自分にとってここまで記憶に残る大会になった。このメモはCRカップが終わってから早めに書いてしまおうと思っていたのだが、関連アーカイブを観たり、関連クリップを観たり、関連クリップを観る配信を観たりでまったく何もできず、2週間程度は日常生活が完全に崩壊してしまい何も書けなかった。Red Bull Kumite 2023面白かったな~とか言っているうちにもうとっくにSFLが始まっている。いい加減に区切りをつけたくなったので一旦ここまでにしておく。後で自分が読み返した時のために、この記事にyoutubeのリンクをたくさん貼っておこうかとも思ったが、面白い切り抜き動画を漁っているとついつい動画を観てしまうのでやめた。未来の私には悪いが、動画は自分で探してほしい。もし困ったら、大須晶の振り返り配信アーカイブを観ればいいと思う。全3回で30時間弱あるけど...

CRカップ初視聴勢#1・予選編「続・弟子k4senさんの活躍を確認させていただく」 - YouTube

 

 

 

おわり